「夏」というランドマーク

  「IA」と「ボカロ」が同質になったのは、「IA」の声がボカロ文化の中で人口に膾炙した結果と言えます。  IAの輝かしい経歴の過程は、すべて他人事として、その光景を離れた場所から見ていました。2012年には「対岸の火事」、2016年には「夏の残り火」のように見えていました。  2017年頃より、ニコニコ動画で「IAオリジナル曲」ばかりを聴くようになって考えていたことがあります。当時すでに、IAは「ボカロ」の歴史のランドマークの一つになっており、そのIAのキャリアにもランドマークが打ち立てられた後でした。  「偉大な夏」が通り過ぎた後の時代を見ているんだと思っていました。それほど、その頃から現在にいたるまで「IAオリジナル曲」の多くから見て取れるのが、過去の作品の「影響」や「憧れ」だったのです。  観念上の世界に帰属先を求めて、そこは誰かの遠い故郷のようでした。